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算出方法と誤差

視聴率調査に使用するサンプルは、関東地区内だと600世帯です。関東地方には、約1600万世帯が存在しており、その中から選ばれているのはたったの600世帯です。しかし、本当にこんな少ないサンプルである程度の傾向が読み取れるものなのでしょうか。その辺りを詳しく見ていきましょう。なお、テレビ番組は地方によって違うものが放送されているケースがありますので、ここでは便宜上、関東地方の8時〜9時の1時間番組の視聴率を計算する場合を考えていきます。

算出方法

視聴率の算出方法自体は、非常にシンプルなものです。シンプルとただ聞いただけではその方法はピンとは来ないですよね。その視聴率にももちろん誤差なども生じます。それでは視聴率はどのように調べられ、どのように算出されて測定されているのか調べていきましょう。

毎分視聴率を求める

実際の視聴率調査で使われている方法は、1分単位で測定されています。見ている人が、8時ちょうどには何人、8時1分には何人、8時2分には何人・・・といった具合に1分刻みでデータが算出されていきます。まず第一に行う作業としてはこれを全て集計することから始まります。すると、各時間の視聴率が計算できますよね。これがよく耳にする言葉の毎分視聴率と呼ばれるものなのです。

毎分視聴率の平均を出す

この60個のデータの平均値を出します。これが平均視聴率で、一般的に番組の視聴率といえばこの平均視聴率を指します。ここで出された視聴率が新聞や雑誌などで発表されるわけですね。ちなみに、番組中で流れるCMの時間も視聴率の計算に含まれます。毎分視聴率を見ると、CMの時間帯だけ視聴率が落ちていたりして、結構面白い落差の激しいグラフを見ることができます。


視聴率の統計学的根拠

さて、以上のように600世帯のサンプルを調査して視聴率を算出していることはわかりましたが、本当に600世帯でいいのでしょうか。大体、誰が600世帯って決めたのでしょうか。これは、あるお偉いさんかなんかが勝手に決めたものではなく、統計学という数学的手法によって計算されたものなのです。

統計学とは

統計学とは、簡単に言うと、様々な統計によって得られた数値を、数学的に研究する学問です。高校生になって理系に進むと、確率と統計なんかで勉強することになる、あの統計です。統計学は様々な事象を研究することに使われていますが、サンプルを基にして全体像を推測しようという行為も統計学の研究分野であり、従って視聴率と統計学は密接なつながりを持っています。このことをふまえて視聴率と統計学のについて考えていきましょう。

サンプル数の考察

では、統計学の見地から、視聴率というものを分析してみます。まず、統計学の考察から作られたサンプル数の式を見てみましょう。

・サンプル数=(有意水準)の2乗×P(1−P)÷(目標とする誤差)の2乗

有意水準とは、計算結果で導き出された数値が実際の数値に当てはまらない確率のことをいいます。一般的にはこの数値を5%として扱います。1600万世帯の数値から有意水準を割り出していくと、1.96という数値が出てきます。サンプル数は大きいほうがいいですから、P(1−P)は大きいほうがよく、そのため数値が最大になるP=0.5を使います。目標とする誤差は、やはり統計学の一般的な0.05(5%)を使いましょう。そしてこの式に数値を代入して計算すると

・サンプル数=384.16

という数値が出てきます。この数値が何を意味しているのかというと、「384世帯の視聴率を調査すれば、実際の視聴率は95%の確率で、算出された視聴率の+−5%の範囲内に収まっていますよ」ということなのです。600は384よりも大きいですから、計算で得られた数値よりも若干ながら信頼性は高いです。例えば、600世帯を調査して20%という視聴率が得られたとすると、実際の視聴率は95%の確率で20%+−数%ですよ、ということです。


誤差

では、この+−の誤差はどれくらいなのでしょうか。勿論、統計学でこの誤差を計算するための式がちゃんと存在します。・誤差=+−2×ルート(視聴率(100−視聴率)÷サンプル数)この式に視聴率20%、サンプル数600世帯を代入してみると・誤差=+−3.3%の答えが得られます。このことから、視聴率20%と発表された番組の実際の視聴率は、95%の確率で16.7%〜23.3%の範囲に入っていますよ、ということが言えるのです。なお、この誤差は視聴率50%のときが最大で、その時の誤差は+−4.1%です。

正確性の確率を引き上げるには

視聴率をより正確なものにするには、サンプル数を増やすしかありませんが、問題は、「サンプル数を増やすことによって正確性がどの程度引き上がるか」なのです。視聴率の誤差を半分に減らすためには、計算式にルートが含まれているため、サンプル数を4倍にしなければなりません。つまり、2400世帯を調査して20%という視聴率が出たとしたら、実際の視聴率は95%の確率で18.3%〜21.7%の範囲に収まりますよ、というレベルです。調査件数を4倍にしてようやく誤差が半分になる程度ですから、費用対効果を考えるとあまり賢い選択とは言えませんよね。この誤差をさらに半分にするには2400の4倍9600世帯を調査しなければならないのです。労力が増えたとしてもその分の効果が見込めないことから、今はサンプル数として最も効率的と思われる600世帯の調査が行われているわけです。決していい加減な意味で600と決めているわけではなく、ちゃんと数学的根拠があったのですね。


数%の視聴率の上下に一喜一憂することのばからしさ

 

しかしながら、発表される視聴率は数学的に根拠のある数値であるとはいえ、その中に誤差が含まれていることから、高々1%2%の違いで大騒ぎするのはおかしいということがわかります。普段20%の視聴率を獲得している番組がある時18%と算出されても、20%の時の誤差の範囲内です。視聴率で大騒ぎしても許されるのは、誤差の範疇から外れた数値が出てきた場合ですが、それとて信頼性は95%ですから、たまたま信頼できない5%に入ってしまったのかもしれません。つまり、視聴率というのは、ある特定の数値が算出された時のみに注目しても意味がなく、多くのサンプルから全体像を見渡さなければダメなのです。しかし、我々一般人ならともかく、プロである業界関係者が大騒ぎしているのは・・・。視聴率の仕組みがわかった人からしてみれば、たった1回の視聴率の上下で一喜一憂している姿を見るとこっけいに見えてしまいます。



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